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医薬品の特許期間延長

期間延長出願制度の懸案事項に判決がでました。

日本の期間延長出願制度では、1つの承認について、複数の特許権の期間延長が認められます。
1つの特許についても複数の承認により期間延長が認められます。
ただし、期間延長ができるのは、有効成分と効能効果のいずれかが異なる承認についての場合、というのが運用です。

すでに特許の期間延長がされた承認と、有効成分も効能効果も実質的に同じ承認であれば、その承認によって特許の期間延長がされることにはなりません。
これまでの運用で、製剤が異なるだけでは、有効成分、効能効果のいずれも同じなので、別の承認であっても同じ特許について特許期間の延長は認められませんでした。
製剤でも、徐放性製剤、腸溶性製剤など技術的に非常に特徴ある技術が多く使われています。
その承認を受けるには、長い時間がかかります。
その開発に対して特許の期間延長による保護が認められてもよいのではないかという反論がありました。

議論があったところですが、判決により、その反論が認められました。
複数の承認についてその特許期間が延長される場合、医薬品の特許期間は、承認に対して特許が延長される毎にさらに期間が長く延長されていきます。
いつまでも医薬品が特許により保護され、後発医薬品を市場に出すのが遅くなってしまう。
さらに、これまでは、延長されているのは、特許での承認を受けた有効成分と効能効果についてである、とされていたのが、どのように解釈されるようになるのでしょうか。
日本では、米国のように期間延長されるのは、いくつの承認があっても1つの特許だけというような簡明な制度ではないため、承認と特許の関係が複雑になっているのですね。
by saikilab | 2011-05-02 08:27 | ライフサイエンス知財

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