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生物多様性の保全も

副作用を低減した抗がん薬が、臨床試験段階に進められるとのこと、着実に進んで発売されるといいです。
分子構造の変化により副作用を抑制したそうですが、化学合成するもととなったのは、中国原産の樹木の葉、樹皮からの抽出物でした。
東南アジアには、このような植物が多く存在していることが期待されます。
このような植物から医薬成分を見出すにあたって、生物多様性の保全が関与します。
生物多様性の保全について、生物多様性条約があります。
生物多様性条約は、2008年7月で191の国と地域(EC)が締結しています。
日本は、1993年に締結しています。
生物多様性条約は、
(1)地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること
(2)生物資源を持続可能であるように利用すること
(3)遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること
を目的としています(第1条)。

この条約に関して、遺伝資源へのアクセス及び知的所有権、技術移転と知的所有権制度との関係が論点としてあげられています。
遺伝資源は、一般的に途上国が所有しています。
古くから病気の治療に使われている植物など「原住民の知識」及び「地域社会の知識」の保護が途上国から強く主張されるようになりました。
遺伝資源の出所など原産国/出所開示の問題もあり、遺伝資源の探索・活用は途上国の立場や要求を考慮して行わなければなりません。
技術移転に関しても、遺伝資源を所有する途上国側が、遺伝資源を利用する側である先進国に対して、その技術移転において、特恵的な条件を要求しがちとなっているようです。
知的所有権として尊重することが必要となっています。
医薬開発において、化学合成だけでは、なかなか新薬が見出されない状況の中で、遺伝資源の活用と知的所有権としての尊重は、知的財産マネジメントの重要なポイントです。
by saikilab | 2008-09-25 07:47 | ライフサイエンス知財

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