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数値範囲を限定すると

「数値限定発明」は、方法、物の発明で、その中の条件、成分比などを数値で限定した発明です。
反応条件の中で、反応温度を特定範囲で選ぶと、非常に反応収率が高くなる、
成分の特定の配合比を選ぶと、効果の優れた組成物となる、
というような場合、その数値限定発明は、特許になります。
製造方法では、通常、目的物質を製造するために効率のよい方法を選んで行います。
そこで、反応温度、反応時間、原料比など、目的物質の収率や純度が高くなるように、いろいろ試して適切な条件を設定します。
ということは、反応温度など反応条件を特定の範囲で設定することは、通常行われていることです。
通常行われている内容の発明は、その結果が、通常予測される程度では、特許になることはありません。進歩性なしと判断されます。
そのような発明が特許になったのでは、通常、だれもが実施している発明について、特定の者が特許権者としてその発明の実施を独占してしまうことになってしまいます。
それでは、どういう発明が特許になるのでしょうか。
通常使用される条件から数値として離れている条件を選定し、そのことにより、飛躍的に収率があがったり、目的物の特性が非常によい場合です。
さらに、その数値範囲に意味があること、すなわち、その数値範囲内と範囲外でその収率や目的物の特性に大きな差があることが求められます。
配合物の成分配合比の選定でも同様です。
特定の配合比が、通常選定される範囲でないこと、その配合比による配合物の特性が非常に優れていることを示す必要があります。
ただし、特許として権利になっても、その数値範囲をはずれれば、権利外であり、権利外の実施にするために何を設定すればよいのかがわかりやすい権利になります。
by saikilab | 2008-07-27 06:44 | ライフサイエンス知財

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